2006年に下田町と百石町が合併してできたおいらせ町にある2つの駅のうち、北側に位置しているのが、ここ向山です。
防風林の役割を果たしていると思われる山林、広大な牧場などが近くに広がっており、山深くないながら自然が豊富な印象を与えるという、車窓を眺めているとちょっと気にかかる一帯ではあります。
駅は島式ホーム1面2線という、東北本線では珍しい形態になっており、跨線橋が東西に延びる形になっているほか、両側に側線が伸びています。ホームが1つだけなのに構内が広いのは不自然にも思えますが、かつてここからフジ製糖(現・フジ日本精糖)青森工場への専用線が伸びていたことから、その際に整備されたものでしょう。なお、この工場専用線の跡地は現在も痕跡をたどることができるといいます。
西側にある駅舎は鉄骨造平屋建て、1960年代から70年代にかけて、貨物の取扱いを行う国鉄駅で標準的なスタイルとして採用された方形のものです。高度成長期特有の機能主義を全開にしたつくりですが、頑丈なつくりでもあり、まだまだ頑張れそうではあります。
駅舎自体は平凡なものですが、駅舎の使われかたは非常にユニーク。ここでは、かつての事務室部分を活用し、有人駅だった当時の備品や写真を活用した「向山駅ミニミュージアム」として転用されています。駅をミニ博物館として利用するケース自体はいろいろありますが、それらの多くが、地方自治体や地方の教育委員会などが実施するもので、こぎれいではあっても温かみに欠けるという例がしばしば見られます。しかしここでは、使われていた生のものを並べるほか、当時の関係者などが直接協力することで、いわば“血の通った”展示になっている点が特筆できます。
待合室にある書棚には、たくさんの本が並んでおり、列車待ちをする場合にも退屈しません。また、この待合室自体が地元の集会場のような役割を担っているようで、いわば地域コミュニティの核として活用されています。駅としては無人化されて久しいのですが、地元の人が三々五々集まることで、温もりを伝える。どこでもできることかもしれませんが、実際にはなかなか見ることができない、そういう駅になっているようです。
ハコモノ整備のような感覚で駅を観光地に仕立て上げるのも悪くないのでしょうが、人がいるから、心が安らぐ、そういう駅にめぐり逢えるとほっとするものです。
いっぽうの駅東口は、跨線橋をおりるとすぐに道路になっています。道路は跨線橋の出口付近で少し膨らむ形になっており、自動車の送迎を考慮してはいるようですが、西側に駅舎があることに比べてアンバランスであることを考えると、無人化されたのちに跨線橋が東側へ延ばされたと考えるのが順当でしょう。
駅前には民家や商店がぽつぽつ並んでいますが、旅行者にとっては、駅東口から南側に進むと到着するカワヨグリーン牧場が有名なところ。牧場見学のほかユースホステルも営業しており、東北本線沿線をまわったホステラーにはなじみの深い駅かもしれません。かくいう牧場の存在そのものは知ってはいたものの、私は40歳近くになるまでこの駅は素通りばかりでしたが。
停車列車 [2011年11月現在]
普通列車のみが停車し、快速は通過します。
乗り場
西側(駅本屋側)から順に、1番線、2番線となります。
- 1.青い森鉄道線下り 三沢、青森方面
- 2.青い森鉄道線下り 八戸、目時方面
駅名の由来
未確認ですが、山を開墾して農牧場を展開していったことに由来するものでしょうか。
歴史
信号場が格上げされて開業した駅です。
- 【1922年8月15日】 「木ノ下」信号場が設置されます。
- 【1936年7月10日】 木ノ下信号場を廃止し、これを格上げされる形で「向山」駅開業。旅客のみの取扱いでした。
- 【1962年5月16日】 貨物営業を開始。
- 【1976年8月31日】 この日かぎりで貨物営業廃止。
- 【1987年4月1日】 国鉄の分割民営化に伴い、JR東日本の駅となります。
- 【2010年12月4日】 東北新幹線新青森開業に伴い、JR東日本の八戸-青森間が青い森鉄道に転換され、同社の駅となります。
- 【2011年11月20日】 国鉄の分割民営化に伴い、JR東日本の駅となります。
周辺の見どころ
向山駅ミニミュージアム
駅舎内、土日祝日開館、見学無料。2011年10月16日オープン。具体的には本文の記述にて。
カワヨグリーン牧場【未訪】
駅東口より南へ、徒歩10分。コメント準備中。